11 Aug 2008

英国での運転

日本と同じ右ハンドルの左側通行だし、英国人は紳士で運転マナーがいいから、英国での運転は楽、というような記事を Web でもよく見かける。あながち間違いではないとは思うが、これから英国で運転してみようと考えている方々に対して、一概にそう言い切ってしまうのは、ちょっと危険ではないかな、と毎日英国で運転していて思う。

そこで、普通あんまり紹介されていない、英国で運転する上での注意事項を私なりにまとめてみた。

  • 英国人はマイペース

  • 英国のドライバーは、ゆっくりな方もマイペースなら、速い方もマイペース。日本と比べると、ゆっくり安全運転な人と、アグレッシブに飛ばす人との落差がずっと大きい。モーターウェイなど、制限速度以下で走っている人がたくさんいる一方で、100マイル/h はゆうに超えているだろうスピードで抜いていく人もかなりいる (モーターウェイの法定速度は70マイル/h)。前の遅い車を抜こうと車線変更しかけたら、後のもっと速い車が先に車線変更していた (しかもこのタイミングだと、後の車がミラーの死角に入ってしまいがち) などということがある。またコッツウォルズなど田舎へ行くと地元の人はものすごく飛ばすので、一緒について走ると慣れないこっちは危ない。

  • 英国人はマイペース その2

  • 日本人の感覚だと信じられない挙動をする。右折レーンから直進、左のレーンから右折などというのは普通 (特にラウンドアバウトの出口で多い)。道の反対側の歩道に知り合いをみかけてとつぜん急減速するとか、右折しかけて (たぶん間違いに気づいて) とつぜん直進レーンに戻ってくるとか、書き出すときりがない。また、道の右側に進行方向と逆向きに路側駐車する車も多いので (合法かどうかは、確認しようと思いながらいまだ確認していない...)、左に道も何かの入口もなにもないのに、いきなり対向車が目の前にウィンカーを出して右折してくるというのも、日本人にはびっくりする状況。なので、「だろう」運転は日本で運転する時以上に絶対禁物である。

  • 譲られ合い精神

  • 英国では、日本よりもずっと譲り合い精神が徹底している。ラウンドアバウトはそれが交通システムにまで昇華してしまった例だが、そこまでいかずとも、対向車線の右折車とか、脇道から入ってくる車だとかに、実にまめに道を譲る。それは大変いいことなんであるが、気をつけないといけないのは 譲ってもらえると思って突っ込んでくる 車が多いということ。そういうのに慣れていない我々は、対向車線や脇道などから注意がそれていることが多いので危ない。

  • 車幅感覚

  • 路上駐車が合法な道路が多いせいか、英国のドライバーの車幅感覚はものすごく鋭い。私は正直いって、日本にいる時はかなり車幅感覚に自信があったのだが、英国人には勝てないと思った。両側に路上駐車がびっしりで、対向車どうしすれ違うとたぶん隙間が 50cm づつくらいしか残っていない (実際計ってみられるとわかるが、あーもうギリギリ、だめっ、と思ったら残りはだいたい 50cm くらいである) ところを、速度も落とさず平然とすれ違う。特にすごいのがバスで、日本でも大型車のプロドライバーの車幅感覚は恐るべきものがあるが、ロンドンバスの運転手もすごい。部分的に路上駐車しているところを、対向してきたバスより先に行かせてもらおうと進んだら (おー、私も譲られ合い精神だ...)、待っていてくれると思ったバスがそのまま突っ込んできて恐い思いをする、というのはよくある話。道が狭くなっているところでは、できるだけ手前で待つのが懸命。

  • 歩行者

  • 歩行者もマイペースである。まず信号を守らない。というか、信号も横断歩道もないところを平気で渡る。片側二車線の幹線道路でもである。ここでも譲られ合い精神は生きていて、渡り始めたが勝ち、目の前に車が迫ろうが実に悠々と落ち着きはらって渡ってくれる。繁華街、駅やバス停の近くは、特に多いので注意。
  • 自転車

  • 自転車もマイペースである。道の左端から 1m 以上も離れたところを左右にふらふら振れながら悠々とゆっくり走っている自転車によくでくわす (そういう人ばっかりではないが)。安全に追い越せるだけの充分な道幅があるところまでは、ひたすらゆっくり後をついて走るしかない。

  • モーターバイク

  • 日本で言う自動二輪と原付。(バイクと言うと自転車を指すことが多い。) おおかたは、まともなライダーなんだけれども、特にデリバリ関係のモーターバイクは、後ろにくっついたかと思うやギリギリの隙間を前に割り込んでくるのが多い。あんた、それ、一瞬間違ったら、中央分離帯 に激突してたよ、と声に出そうになる。(英国の非幹線道路では、横断歩道など要所要所にだけ島のように中央分離帯が置いてあることが多い。追い越しで失敗すると激突する、というかたぶん追い越し抑止策なんだと思う。) なので、そういうのが後についたら、割り込める隙間を充分に作ってやること。

  • ラウンドアバウト

  • ラウンドアバウトの走り方のこつは、そのうち詳しく紹介するが、いちばん気をつけてほしいのは、ラウンドアバウトに入る前に意識して右側を見ることである。幹線道路の大きなラウンドアバウトは、こっちも身構えているからまだよい。危ないのは非幹線道路でアイランドがペイントしてあるだけのような小さなラウンドアバウト。我々日本人は日本の交差点感覚になり、直進する自分が優先と無意識に体が勘違いする上、自分の車線に近い側の左に注意が行きがち。右側に注意が行っていなくて、優先権がある右から来た車にヒヤリ、というのは英国に来てすぐの頃に何度も経験した。

いろいろ書いてしまったが、先に書いたように落差は大きいものの、平均すれば日本よりはマナーはいいし運転しやすい。気をつけないといけない勘どころが違うだけである。普段よく見ていなかった方角 (特に右側) も意識して見るようにすることがたぶんいちばんのポイント。

それと、まわりがマイペースなので、こっちもマイペースで走ればよい。危ないと思ったら速度を落とす・道を譲ることである。後の車に気をつかう必要もないし、あちらも気にしていない。

英国での運転を考えている方は、気後れせず、ぜひ楽しんでいただければと思う。

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